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冷たい哺乳瓶
2022年8月リリース
NPE-006
1.俺たちは失敗した
2.チャーミングマン
3.SHELLY
4.掌に太陽
5.A,UN
6.道化の歌
7.白旗
CRYAMYボーカル・カワノによる初のソロ音源であるソロ曲集。
こちらはカワノが貸しスタジオで自らマイクを設置、ドラムセットを叩き、ギター・ベースを弾きそれを録音し、
その素材のミキシングまで自ら手がけた、文字通りのソロアルバムとなっている。
楽曲ごとに細かく音や楽器を変え、処理の一つ一つも気まぐれに変えて作られていった今作は、
CRYAMYでの制作からは打って変わって、非常に気の抜けた仕上がりとなっている。
リアリティを標榜するCRYAMYでは見られない大胆なボーカルの加工も大きな特徴だ。
人生の失敗を気楽に捉えて開き直る「俺たちは失敗した」、夢みがちな年齢の少女を皮肉る「SHELLY」、
軽薄で馴れ馴れしい学生風の若者に嫌味を言って遠ざける「掌に太陽」など、
CRYAMYで描いてきた風景とは地続きなリアリティを孕みつつも、あえて深刻さを排したライトな作風は
カワノの作家性は、ひょっとしたら柔軟なものだったのではないか、と想像させる。
それでも、終盤に配置された「道化の歌」ではいつものカワノが顔を覗かせる。
自分の人生を憂いながら他人の悪意や浅はかな共感すら餌にして飲み込んで歌ってきた自分を「道化」と評し、
いつか壊れる時まで踊ることを宣誓している。
生まれてきたことを皮肉るような「冷たい哺乳瓶」というタイトルは、まさしくこの曲で表現されている
冷めた表情の若者の作った歌だ。
(廃盤)
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