独立レーベル「NINE POINT EIGHT」設立前最後にリリースされたEP。
全国でライブ活動を展開していた彼らが満を辞してリリースした、現在もリスナーからの支持の厚い一枚。
これまでのリリースに比べ、楽曲の幅を大きく広げ、アイディアに富んだアレンジが全体に施されている。
「Sonic Pop」や「easily」のように、これまでの彼らの流れを踏襲し発展させた楽曲もありつつ、
大きな反響を呼んだ長編バラード「月面旅行」のように、よりメロディを主体に置いた楽曲も生まれた。
彼らの最大のアンセム「世界」も今作にプロトタイプが収録されるなど、CRYAMYに初めて触れるきっかけとして
大いに意味のある特別な一枚とも言える。
サウンドプロダクションも、これまでの雑然としたサウンドから、よりクリアでパワフルな方向に舵を取っており、
メンバーが常に楽曲のクオリティを向上させるために妥協なく努力を惜しまない姿勢はこの時期から貫かれている。
また、今作より歌詞世界はより「目の前の人間」めがけて歌われるように描き出されており、
混沌とした世界を生きる人々の暗い部分に語りかけるよな力強さを獲得している。
CRYAMYは今作を伴って、満を辞しての初の大規模全国ツアーが開催決定。
ツアーファイナルの東京・FEVER含め完売公演が続出するなど、各地盛況の中ツアーが行われていたが、
2020年の新型コロナウイルス禍の影響で活動の停滞を余儀なくされてしまうこととなる。
ライブでの直接的な交流に最大の重きを置いてきた彼らにとって、
コロナ禍によるライブ活動の制限・停滞は大きな苦しみを伴うものであった。
以降、CRYAMYは雌伏の時を余儀なくされながらも、主宰レーベル「NINE POINT EGHT」を立ち上げ、楽曲の制作に明け暮れていく。
なお、今作は2022年、レーベル設立後に12 inch レコード盤にリニューアルしてNINE POINT EIGHTより再発。
彼らの初のレコード作品となった。